Atlantic Salmon
アトランティックサーモン
思い出のジャケット
この日の釣りは、
ロッジ前でのビートから始まった。
“思い出のジャケット”を着て!
この使い古されたオイルジャケットには、深い思い出があるのです。
1988年 この本流でのダブルハンドでの釣りに憧れを持ち、
九頭竜へサクラマスを狙いに行き、なんと2回目の釣行でサクラマスをキャッチしてしまった。
この時代、サクラマスはフライでは釣れないであろうとされており、沢田賢一郎氏が、何度も九頭竜へ通い、念願のキャッチをされ、その情報を基に九頭竜川を知り、釣りに行ったのです。
その2週間後、私は、沢田さんに次ぐ2人目のパワーウエットでのサクラマスをキャッチしてしまったのです。
しかも、その後2〜3週のうちに4本ヒットもさせました。しかし、それは残念ながら全てバラしてしまったのです。
その数年前、浜野先生に憧れ、2度アラスカへ通い、シルバーサーモンを釣ってきた経験から、
サクラマスを狙う時、同様のフライ、同様の釣り方をした所、ヒットしてきたのです。
ところが、同じようなファイトをしていくと、始めの1匹以外はことごとくバレてしまうのです。
この時代では、サクラマスの情報はほとんどなく、鮭とは口の堅さが違っていた事は全く知らなかったのです。
良い経験をし、それを基に、いろいろな事が解ったのです。
その年の秋、
世界最高のスティールヘッドが釣れる川、カナダのトンプソンリバーへ、巨大なスティールヘッドを釣りに行かないか?と誘われ、沢田さんに連れられ、トンプソンリバーへ行き、23LB 100cmのスティールヘッドをキャッチした。
尾の付け根を持った時、サービスポンドではなく本当に20LB以上あるスティールヘッドは全く指が回らない。ムチャクチャに太いのです!
この23LB というスティールヘッドは、5万人に一人という確率でしか釣れないといわれて驚いたのですが、
この年は、サクラマスといい、巨大スティールヘッドといい、思うように釣れ、乗りに乗った年だったのです。
その時に、一緒に釣りをしてきたカナダのスティールヘッド・ガイドやTompsonのスティールヘッダー達が着ていたのが、このハーディーのオイルジャケットだったのです。
ネオプレーンのストッキングウエーダーに、このハーディーのジャケット、帽子はハンチングではなくキャップを被るというのがスタイルだった!
カナダのスティールヘッダー達のスタイル。
それを見て憧れ、カナダのショップを数軒まわり、見つけたのがこのジャケット!なのです。
それ以来、毎年 九頭竜でこのジャケットを着て、苦しみ、泣き そして 笑い、数多くの感激を共にしてきた。
九頭竜川で連続5本のサクラマスをヒットさせ
3本キャッチ!
この時代でも、サクラマスはフライで釣れない魚なのが常識であったが、
チェーリーボム フライ
その独特な釣り方で、
圧倒的に釣りまくったのです。
この時のジャケットです。
1988年初めてのサクラマスを手にして、この世界にハマってしまったのですが、
2匹目のサクラマスがが全く釣れないのです!
この、チェーリーボムというフライが出来上がるまでの2年と11ヶ月
私は九頭竜川へ、毎週必死になって何かを掴もうと通いました。
シーズンが始まる2月1日からシーズンが終わる5月まで 1シーズン25〜27回通って、全く釣れないのです。
九頭竜川までは、高速道路を使用して、片道250km
一度行くと高速代金 往復9,000円+ガソリン代5,000円+食費1,000円で、いつも15,000円くらいが必要だったのです。
小遣いは全てつぎ込まれ、足りない分は剥製作り、ネット作り、マテリアル作りなど、夜中まで働き費用を捻出したのです。
2年目も同様で、どう釣ったらよいのか?いろいろな方法を試み、やれる事は全てやったのですが。しかし、全く釣れないのです。
この年、とうとう九頭竜川の横に、アパートを借り、休日の前日から毎週泊まり込みで行く状態でした。
あまりにも釣れない事で、九頭竜では有名になり、ルアーでサクラマスを釣っていた諸先輩に可愛がられ、多くの事を学ばせて頂きました。
2年と11ヶ月もの間、毎週連続ボーズを繰り返し、苦汁を飲む思いをしながら必死になって通ったのです。
その頃の私は、フライの世界ではまだ若手で、年上の方々に
「あいつ始めに1匹釣っただけで後は全くダメ!たまたま運良く釣れただけだね!」
などと、いろいろ言われている噂を耳にし、ムチャクチャに悔しく必死で通ったのです。
しかし、これは本当であり、全く釣れないのですから、この言葉がきつく感じ、辛く感じました。
さらには、
その間にサクラマスを釣ってきた方は、ショップですれ違うと、
「ダブルハンドでサクラマスをヒットさせると最高に気持ちいいね!」とか、さりげなく私に聞こえるように他の方々に話をするのです。
みんな2年くらい通いますと、1匹くらいは釣れるのですが、私は全く釣れなかったのです。
沢田さんの次にサクラマスを釣り、Tompsonで巨大スティールを釣り
「若い奴が調子に乗りゃあがって・・・・」そう思っていた方も居ました。
悔しい!・・・・・・何とか見返してやる!
それには、この釣りを解明して、徹底的に釣る事しかない!
そんな思いで、必死になって通ったのです。
サクラマスのシーズンが終われば、ウエットフライを持って本流へ!
3ヶ月弱で、毎年50本以上の尺ヤマメを親の敵のように釣りまくりました!
3年で160匹位釣り、35cm以上のヤマメ、アマゴの写真は、100匹以上撮影してあります。
サクラマスは釣れなかった分、必死になってウエットフライでの釣りに没頭し
ドライフライの釣りを封印してまでも、ウエット&ストリーマの釣りを徹底的に研究しました。(3年間)
その結果、いろいろな事が見えてきたのです。
それが、進化して最終的には、チェーリーボムというフライが生まれ、トライアングルリトリーブが生まれたのです。
サクラマスを6週で20本ヒットさせ、9本キャッチ。
毎週行くたびに面白いようにサクラマスがヒットしたのです。
しかも、他の釣り人と同じポイントで!
他の釣り人が釣った後、昼近くにギャラリーが居る目の前で、次々にサクラマスをヒットさせていったのですから
この釣りが解明出来た時は、最高に気持ちが良かったです。
余談ですが、
ビデオ撮影の時は、朝から13人目でのヒット!でした。
一人づつ上流から順番に入っていき、ポイントの半分まで釣り下った時点で次の人が上流から釣り下る。
この繰り返しで、数少ないポイントを多くの釣り人で公平に釣っていくのです。
私はポイントに来た順番から、13人目になり、釣りができたのは午後3時、(当時は、3〜4時間待ちは当たり前でした)10人近くのギャラリーがいる前で、入って5投目!
サクラマスはヒットしたのです。しかもビデオ撮影でしたから、格別に興奮しました。(このビデオ爆発的に売れました)
努力して苦労して通った結果、こんな事も出来るようになっていたのです。
話はそれましたが、
こんな、いろいろな思いを共にしてきた、思い出のジャケット。
それがこのジャケットなのです。
このジャケットと出会った年から始まったダブルハンドの世界。
私にとって初のアトランティックサーモンを狙う今回の旅には、
この思い出のジャケットを持って行き、
憧れのアトランティックサーモンとの出会いを、このジャケットと一緒に感動したかったのです。
長い間、共にしてきたジャケットは
左前のポケットは数多くのリトリーブで 擦れ光沢が出て
左の袖は、しわの部分が、リトリーブで擦り切れてしまった。
この擦り切れた袖を見ると
必死になって通った あの九頭竜を思い出す。
ここまで使用しても、
未だに防水機能は完璧!
内側のウール生地も、保温力は抜群!
現役のジャケットなのです。
同様のジャケットで、バブアーのものがありますが、あれは、内側が綿生地で、私にとってはダメなのです。そして、この次にとハーディーのジャケットを購入したら、作りが変わってしまっていて、ポケットは外に出ていて邪魔になるし、内側にお気に入りのフライボックスは入らないし、オイル臭いし・・・・・・
オイル臭いのが普通ですが、ここまで使用しますとその臭みもほとんど無くなってくるのです。
やはり、このジャケットでないとダメなのかもしれません。
人が見るとボロかもしれませんが
私には大切なジャケットなのです。
最新の
高弾性カーボンを使用した
最先端のロッド K・Bullet SDと!
この日の釣りは、ロッジ前でのビートから始まった・・・・・・・
ただ今執筆中・・・・・・・続く!