Henry's Fork
2006,7,10~
15
ヘンリーズフォークへ、5年ぶりに行ってきました!
ヘンリーズフォークに着いた当日、私のフライボックスには、新しいフライはほとんど入って無かった。
前日にタイイングした3本のスピナーとフローティングニンフが2本、そして小型のワカサギフライ(ワクワクしながらトラウト・サイズを作りました)。
前日まで仕事が忙しということもあったが、それ以上に、予定してフライをタイイングすることに対して、熱くなれなかったことが理由。
「現地にて虫を見てタイイングすることがベスト!・完成したフライの出来具合は鱒に聞くことが一番!」
阿寒湖もそうでしたが、現地でタイイングするときは、寝る間を削ってでも燃えるようにタイイングができ「こんなのが!・・・・あんなのが!・・・」次から次へと新しい案が浮かんでくるんです。そう今も、この文章を書きながらも今回学んだことを、今後に形として残していくためのタイイングをしなければ!とタイイングに燃えていますからね。やはり現地で魚から学ぶべきですね。
そんなわけで、今回は夕方にヘンリーズフォークに到着し、まず行ったのは虫の採取からでした。
予定通りに流下していたのはフラブのダンとスピナー、そしてPMD、キャリベイテスが少々。
5年前に制作したフライ(スルーウイング)と今回作ったものでまずは初日から良い魚を1匹キャッチしました。
でも思った通りで、フライは完璧ではなかったのです。
そこで、見切られたりしたフライ、そして採取したサンプル、ストマックのサンプルをカップに浮かべ、それらを基にサイズカラーを調整し、このフライフィッシング合宿はスタートした。
夜は1時までタイイング。
朝は7時半起床、8時半から12時半まで釣り。
昼は3時間のタイイング。
午後5時から10時まで釣り。
燃えに燃えまくった、充実した日々のスタートだった。
中央が本物です。
スルーウイングは、爆群の威力を発揮しました! 美しくて、良く釣れ、よく浮く!
2日目、ラストチャンスへ行ったとき、
逆光で、水面が銀色に光る中に「カポッ」という音とともに、ブラックのシルエットで、巨大なヘッドと背びれそしてゆっくりとテールを水面上に出していく巨大な鱒の姿を発見した。その大きさは、今までいくつも釣ってきた20インチ前後のものとは明らかに違い、ライズをし終わった後の波紋(リング)の大きさが、明らかに大きく波立っていた。
それを見た瞬間、一気に鼓動は高鳴り、「神様釣らせてください!」と思わず祈ってしまったほどその魚は大きかった。
ライズとの距離、ドラック掛かりにくい角度を見極め、立ち位置を決め、素早く静かに移動をした。
ヘンリーズフォークは特にそうだが、自分が引き起こす波が鱒に釣り人の存在を気づかせてしまいライズをやめさせてしまうことがとてもい多いために、体を動かす場合は細心の注意が必要なのです。
そうでなくても大物は賢く、なかなか水面に顔を出してはくれない! そのチャンスはとても少なく、ほんの一瞬しか無いことが多い。それは、世界各地どんな種類の魚も同じ。
ミスキャストしませんようにと祈りながら、ライズのタイミングを見計らいキャストするタイミングを待った。
今か!今か!と待つ・・・・・・
この瞬間は、仕事や全ての物事を忘れさせてくれる最高の瞬間。緊迫したこの感覚がたまらない。
この鱒は、2回の連続ライズをして、しばらくは全く水面に出でてこない。流下する虫が少ないのではなく、数多くの虫が流下しているにもかかわらずである。あまり水面には興味がないのか?それとも空腹ではなくお腹が満たされているのか? いや、大物だけに過去数多く痛い目にあったの経験からか警戒しているのか?・・・・・
この答えは鱒にしか解らない。
しかし、3〜5分間の静寂は続くが、1回ライズをすると必ず2回目もライズを繰り返す。
それがこの鱒の特徴だった。
そこが絶好のウイークポイントで、早くパターンを知ることが必要! しかし、それも長くは続かないために、解った瞬間には勝負を掛けなければならない。
そして私は、タイミングを見て、1回目のライズをした直後、祈るような気持ちでキャストを行った。
フライはゆっくりと流れ、ここぞと思われた場所に到達したとき、フライの直ぐ横20cmで鱒は本物のフラブを口にした。
「ミスキャスト!」フライはフィーディングレーンを20cmずれて流下したのだ。
次のタイミングを待つ。この3〜5分間はドキドキ!
1回のミスキャストで、鱒は違和感を感じライズをしなくなってしまうことは少なくない。
まだライズをしてくれるのだろうか?・・・・・・・・・
ぴーんと張りつめた緊張感。この感覚に浸りたかったのだ。
「カポッ」
期待を裏切らず次のタイミングはやってきた。
1回目のライズ! 「今だ!」 キャスト!
フライはピッタリの位置に着水し完璧に流下した!
「よし!」「出ろ!」そう思った瞬間! 黒い三角の鱒の頭が大きく突き出し、水面を破り、流下するフライを吸い込んだ!
「よっしゃー!」
間違いなくフライを吸い込んだことを確認し、ロッドをあおった。
しかし、予想に反して何事もなくフライは後ろに飛んでいってしまったのである。
「早すぎたのか?!」「ミスった!」「やってしまった〜〜〜〜!」「あ・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・」
その後5分経ってももうその位置では全く何も起こらなく、10分が経過し、20分が経過していった。
でも、諦めて他のライズを狙う気にはなれなく、ひたすら立ち続けた。
奴がいた場所の向こうでは、20インチありそうな鱒がヘッド&テールでライズを繰り返し始めている。奴を諦めて、そのまま前へ進み、沖の鱒を釣るべきか?このまま待つべきか?かなり悩まされた。
虫が流下するチャンスの時間帯はさほど長くなく約1〜2時間。
このまま待ち続けて、ライズをしなかった場合は・・・・・・・・
せっかくここまで来たのだから、いくつかは釣りたいと思う。
「今日はどうでした?」って、いろいろな方から声を掛けられることは多く、そこで、「良いのが居たんだけどね・・・・・」「釣れたのですか?」「・・・・・」
逃げた魚は大きいっていうのが釣り師の相場。そうは思われたくないからやっり釣らなきゃね。
そんな、心の格闘があるんです。
釣りに来たんだから釣りたいしね。
でも、この大物は諦めたくないし・・・・・・
30分くらい待ったのだろうか。
諦めてまわりを見渡していると、岸側へ1m、そして5〜6m位下ったところで、奴が顔を出した瞬間を発見したのだ!
しかも、岩が沈んでいて水面にできる巻き波の中。
サイド・ダウンで狙っていたのだが、そのままの立ち位置では絶対に無理な場所でのライズだった。
そこで、あわてて上流へ“静かに”移動し、岸へ上がり、鱒に気づかれないように対岸を高巻いて鱒が定位する位置より10m近く下流からのアップ・クロスで狙うことにした。
直ぐさまラインクリーナーでラインを磨き、ティペット以外は完璧に浮かすことをして、ティペットを2ヒロ弱、新品に張り直した。
フラブのダンがブルーダンのウイングを立て次々に流下していく。フラブのダンのベストタイムになっていた。
ライズ状態を観察すると、奴はそのダンをまたも連続でライズしては休憩をする。
そんなに虫の流下時間は長くなく、もう待つことはできない。次のライズで直ぐさま勝負を掛けなければ・・・・・
タイミングを見てキャストされたスルーウイングのダンは、思い通りにドラッグフリーで流れていく。
祈るような気持ちだった。「出てくれ!・・・・」
次の瞬間、ゆっくりと鱒は水面を破りフライを吸い込んだのだ。
一呼吸置きあわてずスムーズにロッドを上げていくと「ズシリ」と重みを感じ、確実なフッキングができたことを実感した!
「ヨッシャー!!」
あわてて出していたラインが絡まらないよう確認をした。
鱒は驚いたのか、一気に走り出し、そのラインも一瞬に無くなり、リールはフル回転。
その大きな魚体を水の中から水面を突き破り真上に高くジャンプした!
「デカイ!」「これは捕らなきゃ!」
どんどんラインは出ていき、またジャンプ!そしてまたまたジャンプ!
3回目のジャンプをしたとき、観光に来ていた方から「ナイスフィシュ!」「写真を撮っても良いか!」って何人かから声を掛けられ、「OK!」って答えるのが精一杯。とにかく切られないようにって、必死でした。
そして、鱒は流れに乗り50m近く下りながら走り続け、藻に潜り込みそれをゆっくりとラインを傷つけないように引き出し、また走られ、ようやくその鱒はネットに収まったのです。
ネットが小さかった!
ネットの中で折れ曲がっていても尾っぽが出て、暴れて逃げられそうになりロッドを抱え両手でネットからあふれた尾びれを押さえた瞬間もあった。
ただ必死だった。
何もかも忘れ、必死だった。
ギャラリーのおじさんやおばさんたちは、大騒ぎ!
ビューティフル!の連発! 「写真を撮ったからメールで送ってあげるよ!メールをを待ってるから」って!
アドレスカードを手渡してくれた。
本当に良い方達ばかりで、嬉しかったです。
口に傷があるこの太った鱒は強者の証拠。
とにかくよく走り、よく飛んだ!
このデカく賢い鱒は、僕にとってヘンリーズフォークでの過去最大の鱒!
何度もワクワク・ドキドキできましたから、最高の良い思い出ができました。
その他、にキャッチした20インチ前後の鱒達は、近日中にフォトアルバムで紹介します。
今回はまたまた多くを学びました。
新作フライもできましたし!
マッチング・ザ・ハッチの良い勉強になりました。
その結果は、kencubeのHPで紹介します。