Atlantic Salmon
アトランティックサーモン
第5章 キャスティング 大物が! これほどの大物が釣れるとは思わなかった!
初日、川に立った時、私は緊張していた。 キャスティングをするのに緊張するとは、久々のことです。 それは、 今回ロッジに到着直後、ガイドたちに紹介されたのですが、そのときに浜野先生が「この男は、凄いキャスティングをする! 日本の有名なフライ・フィッシャーマンだ!」とかなり大きく宣伝してくださったからなのです。 ここのガイドたちは、世界各地の一流のキャスターを見てきた方々です。 そこで、あまり凄いと宣伝して、「な〜んだ。日本人はたいしたことないね!」なんて思われたら、釣りも何もかも全てがレベルを低く思われてしまうのでは?と、プレッシャーは高かったのです。 今回、私たちのガイドをしてくれる「シリー」にどんなキャスティングを行っているのかを聞いてみると やはり、スペイキャスティングがメイン。驚きの答えが出てきたのは、オーバーヘッドもやると言うことでした。 さらに、「ここに来る釣り人は、どんなキャスティングスタイルなのか?」とも、聞いてみました。 すると、「大半がスペイキャスト」やはりです。 「そして、次に多いのはオーバーヘッドキャスト、ロールキャスト、アンダーハンドキャスト」だったのです。 2番目にきた“オーバーヘッドキャスト”は意外で、多くの方が使用しているという! 意外とは? 私のイメージからすると、 通常ならば、オーバーヘッドキャストが1番であるのですが、ここはアトランティックサーモンの釣場ですから、イメージ的に、“スペイ”であり、スペイの方々はスペイしか行わない!そういうイメージがあるのです。 スペイしか行わないなんて、そんな人は少ないのですね! 一部の日本人だけなのかも?
私は思いました。 当たり前のことですが、 “その釣り場にあった方法でキャストする” これが自然でベストな方法なのです。 必要に応じたキャスティングを行うべき。 本場のこの地でも、やはりそうなのですよね。
今回持って行ったのは、パワーヘッド各シンク 、パワーヘッド2 各シンク、 シューティングスペイライン各種
パワーヘッド 4ティップチェンジャブルのボディを1.2m長くしたタイプです。 ランニングは、EXシューティングライン フローティング まず向かったのは、滝の下のポイント ティップは、タイプ2 ティップ フライはガイドのお勧めのフライ
緊張する! 第一投から、ガイドは見ている。 しくじらないように・・・・・・
シューティングスペイを行おうと思うが、左からの風がかなり強く フライラインを折りたたもうとすると、風で流され、思うような場所にラインが置けない。 そこで、 まずは、折りたたむ必要のないキャスティング “クイックスピン”を行ってみた! ロッドを回し、ラインを回転させ、水面にフライが着水したらシュート! 風に乗り、気持ちよく飛んで行った! 40mでは利かない飛距離だ! このときガイドに聞いたのですが、このポイントは魚が少なく遠くにいるらしいのです。 さらにランニングを出し、もっと遠くへキャストした! これでもか! これでもか!と 必死で、ミスをしないように心がけ、むちゃくちゃに飛ばした!
ガイドの顔を見るとかなり驚いた様子なのです。 そして、携帯で電話して、クイックスピンのように手を回して 興奮して騒いで電話しているのです。 この話は、ファーストフィッシュの章で書いた、初めてのポイントへ入った時のことです。
初日、夕方のみ釣りをしたのですが、先生は釣り、私には、魚のアタリすら何もなくロッジへ・・・ ロッジに帰っていくと、他のガイドが来て、ラインを見せてほしいという まず彼が驚いたのは EXシューティングライン フローティング だ! What! veryfine!veryfine!! この細さに驚いていたので、リールから引き出して絡みがないことを教えると 凄い!凄い!の連発!
どうやら、ガイドは、今回見たキャスティングに驚き、他のガイド仲間に連絡していたようなのです。 翌日のポイントでまずファーストフィッシュを釣り(そのことはファーストフィッシュの章で)、 夕方のポイントへ行ったときのことです。 前日からの評判からか、夕方に入ったポイントへは、ガイドのチームマネージャー、他のガイド、イギリスとドイツから来た釣り人など、多くの方が私の釣りを見に来ていた。 かなりの緊張です。 バックスペースが小さく、でも、ポイントは沖の赤丸地点です。 ここにフライが着水するのではなく、ここにサーモンがいるのです! この場所を釣るということはどこへキャストしたらよいのか! どこまでキャスティング飛距離が必要なのか解りますよね。
しかも下流に向いて右岸側です! 右利きの私には最悪、左風 強風 この写真は上流からの撮影です。
キャストしにくい条件でありながらも 私は必死になってキャストしました!
「ここで良いところを見せなくっちゃ!」 「チーフも見に来ているし、イギリスの方もドイツの方も見ている」 かなり緊張しました。 しかし、1投目でクイックスピンを行ってみると、思いの外、飛んでいくのです。 そして、ラインが短いから手前の流れにラインを取られず ゆっくりと、ポイントにフライがステイしているのです! このとき、「これいけるかも!」って思いました! ガイドが進めてくれたフライで2投目。 このキャスティングもさらに飛び見ている方たちから歓声が! そして、特別な釣り方をして、ヒット! |
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沖にある駆け上がり(よれ)の中から ヒットさせた! |
スペイキャストでは、 この飛距離を出すのに大きなバックスペースが必要で、あの地点にまでフライを到達しようとすると、必ずバックの草にラインが絡んでしまう。 ダブルスペイを行い、小さなDループを作りキャストするのだが、 ラインを出している長さが長いと、小さなDループでは飛ばなく、ラインは失速してしまう。 出したラインが短いと、飛んでいってもその距離は短い。 Dループの大きさがキャスティングに大きく関わってきているからなのです。 何かしら都合良く飛んだとしても、ラインが長いと即座にスイングしだし、一瞬にしてフライはピンスポットから外れてしまう。 ここは、かなり難しいポイントなのだ! そこで行ったのがクイックスピンキャストとパワーヘッドのショートラインのシステムだ! ラインが短いので飛んでいけばじっくりとフライを沈め“誘う!”ことができる。 これは、最新の時代の実践的なシステムなのです。 |
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強烈なジャンプ! この魚は強い! 耐久力があるから、なかなか弱ってこないのです! |
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たいしたサイズではなかったが ここでヒットさせた価値は高い! この場所でロングキャストして ギャラリーがいる前で ヒットさせたのはうれしかった! |
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そしてこの場所で連発! ここでは多くの実験をしました。 フライを変え、ラインを変え、釣れ具合を試したのです。 釣れる時、ベストな時ですが、このような時でないと、魚が居る時でないといろいろなテストは出来ないのです! いろいろ試しましたが、外れたことをしますと全く無反応! 何も釣れないのです! しかし、釣り方、キャスト、ライン、フライ全てが揃うとヒットです! ここで、3時間の間に、6本ヒットさせ、4本キャッチしました! 重要なのは、釣り方です! それを行うには、最良のキャスティングが必要なのです!
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チーフガイドは、私のキャスティング、釣り方を、付きっきり見ていた! |
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ヒットした瞬間、 「ズンズン」と頭を振る動きがロッドに伝わってくる。 その振り方の大きさで、ヒットしている魚の大体の大きさが解る! この魚は、ヒットした瞬間からある程度大きいことが解った! ロッドは限界まで曲がり、 かなり強烈なファイトをした!
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そしてまたまたヒット! いろいろと試して、それで全く無反応! そこで、ヒットフライ、釣り方を戻したら またまたヒット!
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見ていたガイド、チーフガイド イギリス、ドイツの方々も驚きだ! |
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またまたヒット! このビートは、3時間で次の方たちと代わらなければならない。 それもあってイギリスやドイツから来ていた釣り人も、この状況を見ていたのですが、 車に戻ろうとした時、 「Very nice Casting」 「Beautiful」・・・・・・・・ メチャクチャに感激され、握手され、 みんな私のロッドの振りを手でまねして 口で「シューッ!」と音を出し、大騒ぎ! 緊張してキャストしていたのですが、 シューティングスペイ そして クイックスピンキャストは、彼らにとって かなり衝撃的なキャスティングだったようです。
3時間でこの数のヒットは、写真を撮ったり、フライ交換したり、ライン交換したりのテストをしていての結果です。 その時間などを考えますと、かなり忙しかったのです。 爆釣でした! クイックスピン、シューティングスペイ、そして、KenCubeライン!の成果です。 サクラマスで培ってきたテクニック、ハイパーエキスパートで紹介してきたテクニックは、アトランティックサーモンにもバッチリです! 感激しました!
この2日後、この美しい滝下のポイントへ行ったとき、 一人のガイドが、私のキャスティングをずっと見ていたのは知っていました。 なんなのだろう? 噂を聞きつけ、観察しに来ているのか? 彼らは数多くの著名なスペイキャスターを知っていて、 彼ら自体も、美しくキャスティングする。 そんな彼らが、わざわざ見に来ているとは! 少し緊張しながら、丁寧にミスキャストをしないように釣り続けた。 釣り上がる前は、こんなに飛ぶぞ!とばかりに、ポイントを無視して、めいっぱいキャストした! そして、一釣りして陸に上がると、彼が近づいてきて、 「Beautiful Casting・・・・・・」 「・・・ your fan ! ・・・・・」 えーっ! ファン? 浜野先生! ガイドが何か言っているのですが・・・・・ 先生が通訳をしてくださったのですが、 彼は、僕のキャスティングを見て、感激し、この2日間何度も見ていたようなのです。 凄く研究熱心な方で、いろいろなスペイを勉強し、多くのビデオ、DVD,を見て、多くの本を読み、 ダブルハンドだけでも30本以上持っているという。 その彼が、「こんな凄いキャスティングは初めてだ!」 そう感激して、キャスティングを覚えたいと言ってきたのです! 帰る前日、時間を作り、釣りをやめて、キャスティングの話で盛り上がりました! 「研治のキャスティングはこんな感じで・・・・・」 必ず最後に口で「シューッ!」と言って、ロングキャストをイメージさせて話しているのです。 さらに驚いていたのは、 「このロッドは? 日本製か? K・Bullet」 Kenjiの K と 弾丸のBullet なのだと教えると納得し、 「何でこんなに軽く、どうしてこんなパワフルなんだ!」 「マテリアルは何?・・・・・・・etc 」 延々と質問は続いた。 「こんな凄いロッドは初めてだ! トヨタと同じ・・・・」 「買うことは出来るのか?」 彼らは 世界各メーカーのロッド振ってきている。 それであっても K・Bullet を見て、触って、振って、驚きだったようだ! “K・Bullet” このロッドは世界に通用するロッドであると確信しました!
最後には、彼らが シングルハンドの#6まで持ってきて、キャスティング!
ラインを全部出し、さらにバッキングを出し、転がるループでフォルスキャスト! シュート一発で、全てのラインを出していくと これも大騒ぎ! 驚くほど飛ばして、見せてきました! 美しいロングキャストは、世界共通のフライマンの夢! ですね。
「ビジネスカードを渡すから、帰ったら連絡がほしい!」とガイドから。 「貴方のシューティングスペイのDVDを見て、このキャスティング覚えるから・・・」 「こんな凄いキャスティングは初めてだ!」・・・・・・・・延々と続きました。
今回、かなり緊張し、心配してこの釣りに挑んできた。 その一つの、キャスティングでしたが、 恥をかくどころか、認められ、 このスタイルを覚えたいから教えてほしいとも言われ、正直、驚きました!
彼らは、スペイキャスティングの一流のガイドです。 ただ、スコットランドの人ではなく、スペイリバーの方でもない。 ヨーロッパ、アメリカなど世界各地から有名な釣り人が集まる場所で、純粋にガイドをしている彼らなのです。 そこには、キャスティングに対する変なプライドは無く、伝統を守るために、新しいスタイルを排除しようとする、時代に逆行した考えはなかった。
そんな、本物を求めている彼らに、今回認められ、私自身も驚いてしまった!
私が作り出したクイックスピンキャスト! そして、ぺーリーポークのアレンジであるシューティングスペイは、 世界に通用するキャスティングであると確信できた!
やはりこれからの時代は ですね!
今回、何よりもスペイキャスティング メッカの彼らが 認めてくれたことが大きな成果です! これは、 どんなに大きな魚を釣ることより、重要なことであり、 今回は、とんでもない大物を釣ってしまったようだ。
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