デルタウイング・イマージャー
このフライパターンは、1990年前後に私が考案したオリジナルパターンで、数年をかけ形状が微妙に変化し、1997年にこの形状とし完成したフライなのです。
サイドから見た状態では、一見カディスフライとも思える形状ですが、
上部から見るとカディス形状とは違い、ステルス戦闘機のような形状をしております。
しかし、この形状は、鱒の目から見ると明らかにメイフライに見えてしまうのです。
それは、水面との干渉形状がそうさせるのです。
これは水面に浮かべトラウトウインドウ外で見えるデルタウイングイマージャーです。
凄いでしょう!
ウイングの両サイドそしてボディのみが水面に触れ、このような形状でライトパターンを作り出すのです。
この形状ならば、どう見てもメイフライのヘルプレス状態に陥ったものとして鱒は見てくれますよね!
鱒は、トラウトウインドウ外で餌生物を発見し捕食行動に入りますから、そのときにこの状態で見えるわけで、ここでの印象がまず最初の段階として重要なのです。
そして、トラウトウインドウ内に入ってきて、
このように全体の形状が見えてくるわけです。
ここで必要なのが、ウイングの透過性とリアルなカラーなのです。
ウイングの形状としては、落ちこぼれである以上同様の形状ばかりではなく、個々の落ちこぼれた状況によりその状態は変わるのです。ウイングが広がらずに縮れたもの(ツイストウイング・イマージャー)や片側だけ広がったものなど、様々な形があり得るわけで、そのどれもが統一されるものとしては、透過したウイングとカラーなのです。
トラウトウインドウ外で矢印または十字の形状を出し、鱒に興味を持たせ、トラウトウインドウ内でカラーと透過で誘い、疑いを持たせることなく捕食させる。疑いがなければ、口の奥までフライを吸い込み確実なフッキングが可能となるです。
このフライにこだわりを持った点は、
ウイングをたすきがけにして固定し、両サイドから指でウイングを持ち上げ折り目を付けること。
このように折り目を付けることにより、キャスティング時にウイングが空気抵抗を受けたときウイングがその抵抗で折りたたまれ、後方に回転流の発生を起こさせないようにすることなのです。
フライが回転してしまうのは、風は抵抗を受けるとその裏側に空気の渦を作ります。たこあげの時、たこに足をつけないと回転してしまうのはそのためなのです。フライの後ろに足をつけるわけにはいかないので、このように抵抗を少なくし回転を起こさせないようにすることが理想なんです。
さらに、この折り目は、くっきりとトラウトウインドウ外で矢印形状をアピールしますし、形が崩れにくく、安定するのです。
カディスじゃね〜の?なんて大間違い!
人から見たのと鱒から見たのでは大きく違うものもありますので、この世界メチャクチャ面白いよね!
エルクヘアーカディスはどう本当にカディスですか?
世界広しと言えど、このような折り目を入れたフライは他に無し!
そこが自負するところでもあります。(ほめてやってくださいね)(ついでに、ツイストウイングイマージャーのウイングを束ねたのもそうです)
このフライは、蒲田川、桂川、忍野などで、ごまかしのきかないフラットな水面において絶大な釣果を数多くもたらしてくれたパターンなのです。
ただし、ウイングの素材の問題で、耐久性、通気性に欠けるために、最近はスルーウイングで使用していますが、鱒から見るとそれぞれに違って見えますから、必釣パターンとしては、現在も健在な必須パターンです。