フライパターンとフッキング率
2008年 9月 5日からの 阿寒湖 ホテルエメラルド 集合 での フィッシングツアーを行った時のことです。
6日は 知床へ行き バスツアーでカラフト鱒を釣り、羅臼温泉に入って、1日楽しく過ごしました。
最終日の7日は、本来は太平洋側の河川で大型アメマスを釣りに行く予定だったのですが、大洪水で阿寒湖で釣りをすることになったのです。
そこで、7日の早朝、阿寒湖のインレットへ行き、インターミディエイトのラインでマラブーのストリーマを引いていたのです。
しかし、1時間経っても、誰もアタリもなく、全くの無反応でした。
もう諦めようかと思った時、そよ風が吹き出したと同時に、ライズが2回くらい起きたのです。
「あれって、虫食べているライズ?」 そう他の友人が聞いてきましたが、この時期の阿寒湖は私も初挑戦。
阿寒湖で釣りをする予定はなかったので、事前情報は全くありませんでした。
まさかこの時期に、ライズがあるとは思ってもいなかったのです。
阿寒湖の水温は高く、水面に魚が居ないであろうと思っていたのです。
そこで、この周辺のガイドの引地さんに聞いた所、今年は、天気が悪く、寒い夏でしたので、早くから水温が低下しだし、8月中過ぎにはライズが時々あるようになったようで「川から陸生昆虫が流れてきて、それを探して補食しているから、大型のドライが面白いですよ!」って教えてくれました。
彼は、今、北海道でのナンバー1ガイドで、もの凄くいろいろな所を知っていまして、その腕も抜群! 阿寒湖、屈斜路湖、知床、斜里、道東などなどガイドを頼むなら、彼が最高です。
話はそれましたが、
そこで、ドライフライをキャストしてみる事にしたのです。
私は、今回ドライフライのボックスは置いてきてしまって・・・・・・・
マラブーを引き続けることにしました。
そこへ、まずは、昭島の梶原氏が、フォームのオリジナルフライをキャストすると!
直ぐさま「ヒット!」
え〜〜〜・・・・・ほんとう?
「やっぱドライですか!」って周りの方々もみなドライフライに変更です。
その直後、梶原氏のクラブの会長が、ヒット!
彼もテレストリアルフライを使用していたのです。
その魚は、50cm近くあったでしょうか、大きなジャンプをして、暴れ回り、その直後一気に走り出し、ラインブレイク!
残念ながらネットに収まることなく消えていってしまったのです。
その後、私は、梶原さんに1個フライを頂き、それで少し釣りをしたのですが、20分足らずで朝食の時間となり、ホテルに帰ることにしたのです。
数名で、マラブーのストリーマを水面直下からある程度の深さまで何度となく探ったにもかかわらず、ドライをしかも、フォーム系のフライを使用すると即座に反応してくることに驚かされました。
そのフライは、私のベストに付いていたままになり、この日、夕方、阿寒川の漁協管理区域より下流の自然繁殖している鱒を狙いに行ったのです。
ウエットフライで釣ろうか?それともドライフライがベストなのか? 悩んでいたのですが、まずは、梶原さんに頂いたフライを着け、どれくらい反応するのか試してみることにしたのです。
ロッドは、今回。 K・Bullet LS #3です。
アメマスの70cm台を川で釣ろうというのが目的だったために、川でドライフライが出来るロッドはLS#3より他にはなかったのです。
リーダーは、4x12ft ティペットは FX0.8号2フィート
入川直後、少し深めのプールで確信の流れにフライを乗せていくと「バシュッ!」一発でヒットです!
さほど大きな魚ではありませんが、自然繁殖した魚は、綺麗ですし、思った以上に走り、楽しませてくれました。
次のプールでもヒットです!
フライが口に収まらない状態でもヒットしてきて、バラすことなくキャッチが出来ました。
その後も、その後も、面白いようにヒットです!
25cmから30cm弱までが次々とヒットしてきました。
同じようなサイズが、面白いように釣れたのです!
私は驚きました!
何がと言いますと。
それは、このフライのフッキング率です。
このフライは、ボディー長 2.5cm
フライ全長4cm
こんなに大きなフライなのです。
しかも、ロングシャンクのフック。
不思議に思いませんか?
25cmから30cm弱までのレインボーが次々に釣れたのです。
35cm〜40cmもあれば、次々とキャッチできても不思議ではないのですが、
虹鱒の口は大きくないにもかかわらず、
まともに口へ入らないくらいの小さな口の中に、フックの部分が入り込み、確実にフッキングしてくるのです。
このフライのサイズですから驚きました。
夏から秋にかけての渓流では、テレストリアルが中心です。
その場合は、大型のフライが絶対的に有利なのです。
小型河川では、そうも言い切れませんが、大きな淵、水深がある渓流、水量が多い渓流などでは、顕著にそのことが表れてきます。
少しでも大きな魚を釣ってみたい!
釣り人ならば誰でもが思うことです。
ある程度の大物になると、浅いプールにはほとんど居ることが無く、大半は、大きな深い淵、水深のある流れの中になってきます。
そこで、小さなアントなどキャストしても、魚の目にとまる率は少なく、何事もなく流れていく事が多いでしょう。
そんな場所では、水深がある川底にまでもアピールしてくれるフライが必要なのです。
パターンは問わず、虫らしく、食べたらお腹がふくれそうな、食べたくなりそうな大型のフライがベストなのです。
でも、大型のフライを使用すると、フッキングの悪さが感じられます。
「出るんだけれど、なかなかフッキングしなくて・・・・・・・」
特に、バッタ系、エルクヘアーの大型カディスなどは、フッキングが悪いような気がしませんか?
このフライも、バッタをイメージしたパターンですが、
このフライを使用した時は、30cm以下の魚にはもの凄くフッキング率が悪く、出ても掛からないということが続きました。
まあ、どうせ小物は相手していなく、大物を釣るパターンですからといわれてしまえばそれまでですが、大物とか小物とかではなく
フッキング率のことについて考えなければならないのです。
この口のサイズで、この大きなフライがフックの部分のみ口の中に入っているのです。
これが、偶然というか、時々ならば、さほど気にもなりませんが、出る魚のほとんどがフッキングしてきたことに驚いたのです。
どうしてなのか?
考えていきましょう!
このフライを詳しく見てみますと、
これは横から見た写真です。
これは真上から。
これは、真下からです。
ボディは、オレンジのフォーム 挟んでスレッドで巻いています。
ウイングは、バブルラバーシート ダン・カラー
レッグは ラバーレッグ
ブラックハックル
ポストはオレンジ
このフライは、レッグ効果で鱒を引き寄せ、ダンのウイングとオレンジのボディーでアピールしているフライなのです。
ウイングに使用しているバブルラバーシートは、とても柔らかくフッキング率は抜群ですので、ボディより長めに出していてもフッキングは変わらず
大きなアピールをします。
制作者 本人に、どういう考えでこのフライを製作したのか?を聞きました。
彼が言うには、
目立つからということで、オレンジのボディ と イエローのレッグ そして バブルラバーシートのウイング を使ったそうです。
この大型フライですが、
ご覧の通り、すっぽりと口に中に入っているわけではなく、フックの部分のみが口にはいるのが精一杯。
ブルーの丸印を、鱒がライズして くわえ込んでいたならば、フッキングはしなく、出ても掛からない状態になっていたのでしょう。
しかし、このフライに関しては、全て、赤丸の部分を 鱒はくわえ込んできていたのです。
フッキング率を上げるのに フックの形状も大事ですが、フライパターンでも大きく変わることの発見です。
全体の大きなシルエットで興味を鱒に引きつけておき、極であるオレンジのボディーを鱒にくわえ込ませる効果があるフライだからなのでしょうか?
このフライを使用していて、良く出てきましたし、面白いほど良くフッキングしましたからね。
ブルーの○で囲まれた部分は、ブラックのハックル、レッグなどがあり、そこをめがけてライズしてきそうな感じもしますが、鱒は、テールの部分をめがけ吸い込んできたのです。
これはゆっくりした流れではなく、結構速い流れの中、スプラッシュ・ライズをしてきてこの結果なのです。
オレンジカラーのボディ と 黒いウイング が鱒を引きつけた要因なのでしょうか?
ウイングが硬い素材ならばフッキングはかなり落ちますが、バブルラバーシートですので、ソフトでフッキング率を落とすことはないのです。
これはとても重要な考え方なのではないでしょうか!
「フックの場所を、指定させ鱒に咥えさせる!」 そんなことも可能なのです!
大型のフライは、フッキングが悪いのが当然だから、それを良くする方法として、使用していけば、フッキングは抜群に良くなるはずなのです!
今まで、雑誌などでは こんな話は紹介されてこなかったのですが、
皆様は、このような考え方をしてフライを製作してきましたか?
これからは、こんな方法もあるということを頭に入れ、フライを製作してみてください。
貴方の釣りが進化することは間違いないでしょう!
そして、釣りも、タイイングも面白くなる事でしょう!
そういえば、
このフライを見てください。
1点赤 パラシュートフライです。
こんなフライ、見たことありますか?
今から28年前のパターンです。
これは、私が、20歳の頃 愛用してきたフライパターンです。
1980年のこと。
この時代に、フライのボディを1点のみを赤にしたり、黄色にしたり、グリーンにしたり・・・・・
「このカラー・ワンポイントを魚が注目し、そこを食べてくるんだ!」そう、考えられて作られたパターンです!
フライを始めて2年目の私に指導してくださった
師匠がいたのです。
ウエットフライにも、1点のカラーを入れ爆釣されていたことを覚えてます。
フライは、自分の思いが形にすることが出来ます。
こんな発想で、自分のフライをもう一度見直してみるもの面白いのではないでしょうか?
早速に、ブラックのバブルラバーシートのウイングを使用して、作ってみました。
これを機に、イエロー、チャートリューズなど、ワンポイントを入れたパターンをいろいろと製作してみようと思います。
皆さんも、カラーポイント・フライ 製作してみましょう。