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ストマックポンプは魚にダメージを与えるものなのか?

2018年 2019年 で 2回のテストを行いました。 

 

 

「ストマックポンプを使用すると魚にダメージを与えるので、使用するべきではない!」

そんな意見があることを知り、それは何を根拠に言い出したのか?不思議であり、いろいろと私なりに調べてみました。

しかし、養殖業者や水産試験場にもそれを研究したデーターはなく、ストマックポンプは本当に危険な物なのかどうかが解りませんでした。

「ストマックポンプを使用すると魚にダメージを与えるので、使用するべきではない!」という意見はどこから生まれたのか?

中には、胃カメラを飲むのにとても苦しく苦労したので、魚も同様メチャクチャに苦しくて、これは虐待である!という意見がネット上でありました。

これは本当のことでしょうか?

ならば、ストマックポンプを使用するのはやめた方がよい!と私もそう思いました。

しかしです、人は歯があって、物をかみつぶして飲み込んでいるのに対して、魚は全てが丸呑み

よく考えると、蛇トンボの幼虫は歯がありかみつく、ハサミムシも同様、かみつく虫などは丸呑みにしていれば、胃の中で大暴れしてかみついたりするのでは?

それで傷ついていたら、魚は吐きだし、ダメージを受ける??? 食べられない物になってしまします。

魚の胃はそんなに柔なものなのでしょうか?

そんな思いがありました。

 

このことについて、いろいろ調べてみましたが、研究をしている方もいなく、釣り人がストマックポンプを使用してリリースした魚がどうなっているのか?

それを実際に確認することも難しく、全てが想像の意見ばかりで、確実なデーターがない。

そこで、魚の研究家として、私がどれくらいダメージがあるのか調査をしてみようと思ったのです。

 

そこで、東京水産大学のOBの方に相談した所

調査は、ストマックポンプを使用した魚と、使用しなかった魚の飼育条件を全く同じにして、テストをしてみるとよいという意見を頂きました。

 

実験の開始

2018年 9月 14日 水温18度

鱒族の中でも傷つきやすく繊細なアマゴでのテストを行います。

8月中にこの実験を行おうと思いましたが、水温が22度もあり、魚が弱っているので水温が18度になるまで待ちました。

この水槽は、糞の排水状態があまり良くなく、通常のリリースネットを使用しただけで、魚の頭の部分のスレ傷からカビが着き出すあまり良くない環境の場所です。

しかし、私のような鱒場の中では空いた池は他になく、あえて劣悪な条件の下での実験をしてみたいと思い実行してみました。

今回の使用した池の状態8角形の水槽半径3m

水温 18度

 

アマゴは繊細な魚で傷つきやすく
2018年 5月17日 5月初旬リリースネットでこの場所に一部の魚を追加した所、スレ傷から頭部、ヒレなどにカビがさき多くの魚が死にました。

リリースネットでも傷が付く事が判明

この池の環境は良くないようで、他の池では問題は少なかった。

この池は、糞などが底に堆積しやすく(写真)
その影響からなのか、カビが発生しやすい環境です。

このようにスレた所から菌が入りカビが発生

この環境で、口、胃袋などに傷ができれば、使用した後にカビなど発病しても不思議ではない環境での調査です。

そこで今回使用するネットは、

傷が付きにくい リリースネットのラバーコーティング

そして、 アングルのストマックポンプを使用した

 

 

 

まずは 生け簀を半分に仕切りました。

 

これで両方とも同じ条件です。

2018年 9月16日 15:36  水温18度

 

使用したネットは リリースネットのラバーコーティングです!!

 

全てアマゴでのテストを行います。

ストマックポンプで胃の内容物を取り出す

 

魚のサイズは、28cm

朝与えたペレットが消化されて出て来ました。

小型の22cmのサイズの魚も居ました。

大型のものは30cmを越えたのも居て、全部で30匹

ストマックポンプを使用しました。

ストマックポンプの使用を終えたのは、

2018年 9月16日 15:53分

 

終了してから、この生け簀には近づかないようにしました。

2018年 9月16日 17:07分

約1時間後

ネットで追い回されて、捕獲され、ストマックポンプを使用された魚たちはどれくらいのダメージを受けているのか?

精神的なダメージを受けているならば、1時間後ではエサを与えても食べない出あろう。

胃や食道に傷ができてダメージを受けていても、1時間後では餌は食べないだろう。

さあ、どうなるのか?

 

 

 

これが ストマックポンプを使用してから 1時間後

2018年 9月16日 17:07分の動画です。

驚きました!!

 

翌日

2018年 9月17日 9:30分

ストマックポンプを使用して17.5時間後、魚にエサを与えてみました。

何も変わらなく、元気で餌を食べました。

 

 

2018年 9月17日 9:30分

ストマックポンプを使用して17.5時間後の映像

 

2018年 9月19日 15:47分撮影

約3日が過ぎましたが、魚は1匹も病気になっていなく、ダメージを感じさせないくらい元気で餌を食べまくっております。

 

今の所

実験では、ストマックポンプを使用しても魚にダメージは現れておりません。

 

9月22日 11:57分 撮影

 

6日後

全く魚に異常なし

捕獲時のネットのスレでの発病を気にしておりましたが

スレ傷もほとんど無く、ラバーネットはかなり良いようです。

 

魚の状態は良いようなので、小さく仕切ると魚がフェンスに当たって傷が付くので、フェンスを撤去しました。

10月2日  14:34分 撮影

17日後

魚に全く異常は無し!

カビがさいてしまうようなこともなく、元気で泳いでおります。

 

 

 

今回の実験結果

17日間の調査から見えてきたことは、 

1、精神的なショックについて

ストマックポンプを使用して胃の中のエサを吸い出されても、1時間後には餌を食べ始めてしまうことより

魚は精神的ショックで、餌を食べなくなることはない事が判明。 

1時間後はあまりにも早く、聴視していた私も驚きました。

 

2,肉体的な損傷について

ストマックポンプを使用してから、17日間の観察を行ってきましたが、

のどに損傷があり餌が食べられなくなる。口の部分が傷ついて物が食べられなくなる。そのようなことは全く無く、カビや傷などは見られませんでした。

 

今回の実験の結論

ストマックポンプを使用した事による魚へのダメージは感じられませんでした。

ストマックポンプは、精神的にも肉体的にも、魚に大きなダメージを与える物ではない。というの後結論です。

 

それより、魚を捕獲するときのネットで、スレが生じて尾腐れ病、傷、水カビ病になることが心配でした。

 

少し粗めのリリースネットで捕獲し、この池に移動させたのですが、アマゴは傷つきやすく、多数の魚が水カビ病になり、

カビがさいた魚は全て死にました。

暴れてこすれた頭部に傷が付くようです。

リリースネットでもこのような事になるので、今回はリリースネットのラバーコーティングネットを使用。

全く傷は付いていないようで、発病は全く無く無事に実験は終了しました。

 

 

 

 

 

 

2回目の実験

ストマックポンプは魚にダメージを与えるものなのか?

そして

魚を手で触ると、火傷をする? 

これは本当なのでしょうか?

私が見たものは、HPやブログFB インスタグラムなどで

魚を手で触らなくする事が正しいと思っているのか?

・ネットの上から魚を掴む!

・グローブをして滑らないようにして触る!

 

そんな写真をいくつも拝見しました。

今回の実験は、全て素手で魚を触り、劣悪な環境の中、どんな病気になるのか、

ストマックポンプを実施する事とかねて事件をしてみました。

 

2019年 8月11日

水温20.5度 気温34.8度

 

水温が20.5度 アマゴにとって暑すぎる最悪の状況の中、

ストマックポンプは、魚にダメージを与えるのか?

実験してみることにしました!


 

 

 

 

18cmから26cmのサイズのアマゴ 約100匹にストマックポンプを施しました!

しかも魚は全て 素手で掴んでおります!

素手で触ると本当に火傷するのか?

 

 

リリースネットでは、魚がスレて病気になるので

今回も、ラバーのリリースネットを採用し

どれだけ傷が付くか試してみます。

 

 

この、高水温の中、どれだけのダメージがあるのか?楽しみです!

 

皆様 この状況をご覧ください!

 

この映像は、ストマックポンプを施してから直後の映像です。

泳いでいるアマゴを追いかけ回して、ネットで掬っていたので、まだ水が濁っています。

 

 

 

1時間半後 濁っていた水も綺麗になりました。

結局、ストマックポンプは魚に影響を与えない!ということですね。

釣り針で引っかけて傷を付けることより影響は少ないようです。

 

この2年にわたり劣悪な環境の中実験を行ってきましたが

ストマックポンプは魚に影響を与えない!

これが答えのようです!

自分の思い込みで、ストマックポンプは咲かないダメージを与えるなどと根拠もないことを言うのはやめましょう!!

 

そして、もう一つの実験

魚を素手で触ると 火傷をする?

素手で触りたくないから、ネットの上から魚を掴むのは正しいのか?

このことを考えて欲しいと思います。

 

水温20.5度 気温34.8度の中 素手で触った魚たちは?

5日後 水温21度  全く異常は見られませんでした。

傷の魚は1匹もない状態です。

2019年 8月30日

素手で触って20日目

メッチャ元気で餌を食べ、病気の魚は全く無し。

 

水流を回転させて飼育している所へ、柵を入れて仕切ったために

魚の糞が排出されなく、池が濁り、雑菌だらけの才覚の環境になりました。

 

最悪の飼育環境になっていて、魚は病気もなし、ストマックポンプの影響も全く無しということが解ったので、

魚がかわいそうなので、この実験は終了。

仕切っていたフェンスを取り除き、水が回転して、糞尿を流して綺麗な水になるような状態にしました。

結果

魚を手で触っても全く問題は無し!

魚を触るとき、水の中の魚を触れば、手は水に入り濡れているので、

手を水に入れしばらく待つなど必要はなく、ネットの中の魚をそっと触って、逆さまにして、フックを外す事をしましょう!

 

ネットの上から魚を触る方がいますが、これこそ最悪の事です!

これらの写真は、以前リリースネットで掬った魚を、今回の生け簀に入れて

数日経った時の状況です。

リリースネットは、生地に魚のヌルを吸い取られて

傷が付いてしまい、そこから雑菌が入り化膿して

カビがさき、その魚は全てが死にました。

 

魚を素手で触るのは良くないから、といって

ネットの上から魚を触る方がいますが、これこそ最悪の事です!

魚が持ちにくいから、グローブを使う!

これも最低!

魚を殺して食べるならば、何でもOKです。

しかし、リリースするならば、最良なことを行いましょう!

ラバーコーティングのリリースネットを使用したら、このように病気になる魚は皆無でした。

 

ラバーコーティングのリリースネットの使用をお勧めします。

手編みのネットは、リリースネットよりも結びコブが魚の体に傷を付けます!最悪のネットです。 私には全くカッコ良く見えませんが、カッコイイからと使用している人も多く、(特に日本人のみ) もう考えを変えるときが来ていると思います。

ラバーコーティングのリリースネットは、

・使用しても魚臭くない!

・フックが刺さらないから、ルアーの方でも使いやすい。

・水が染みこまないから、直ぐに乾く。

お勧めのネットです。

 

2019年10月1日

ラバーネットでの捕獲を行ったために、今回は1匹も病気無し!

ヒレが傷んだ魚も無し!

8月11日から1匹も傷つくことなく元気で成長しております。

結果 ストマックポンプは、魚に大きなダメージを与えていない。

濡れた手で魚を直接触っても、全く病気にならない。

手編みのネットは、危険なので使用しない。

魚に優しいのは、リリースネットのラバーコーティング。

 

杉坂養鱒場のネットは、全て、リリースネットのラバーコーティングにしました。