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オーバーヘッド・キャスティング


ハイスピード・ハイラインの神髄
転がるループ、落下しないループを学ぼう!


基本レッスン 2-1
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目指すループの形状が理解できたら、その形状を作るにはどうしたら良いか!


ループ形状の形成の基礎

ループの形状はどこで作られているのでしょうか?


その1 ループの上側の形状 

 テーリングなどを解消する方法

まず、このループを見てください。

これらのループ形状は、テーリングといわれるミスキャストです。

ループの上側が波を打ち、フライがラインベリーに絡んでしまったりするのです。

このループは、初心者の方々に多く出てくる現象です。

このようなループが出来てしまい、悩んでいる方々、このメカニズムが解れば、このトラブルなんて簡単にな直せるのです。

そのためにも、これから始まるメカニズム解説をしっかりと読み、把握してくださいね。

 

これはどうして起こってしまうのか!

ループの形成メカニズムを説明しましょう。

これが、ロッドから放たれるラインの形状を描いた物なのですが、この状態ならばループは直線に伸びていき、テーリングは起こっていないのです。

ここで重要なことは、
“ループの上側の形状はロッドがラインを追い越す前(加速時)に作られた形状である”

すなわち、加速時にロッドティップが動いた形がラインの上側の形なのです。

 テーリングループは、 上側が波を打っている形状なので、この状態になったときは、加速時に、ロッドティップが直線に動いていたのではなく、この形状の様に波を打っていた証拠なのです。

そのメカニズムを図で表してみましょう。

この図を分解してみてみますと、

これは加速時前半のロッドの動きです。

徐々に力を入れていけば、急激にロッドは曲がらないはずですが、「遠くへ投げよう!」と思い、ロッドがまだしっかりと曲がっていない状態で、「エイッ!」と力を入れてしまったとき、に起こりやすい現象です。

 

ロッドが急激に、必要以上曲がってしまい、ロッドティップの軌跡が凹状になってしまっているのです。

一度作られてしまった軌跡はその形状を維持していきますので、ループの上側には凹状の形が最後まで残ってしまうのです。

直線的に動かない理由としては、
1、ロッドを持つ手が急激に力を入れている。  2,ホールが急激に引かれている

このどちらかが原因となっていることがほとんどです。

その他のテーリングが起こる理由としては、180度に近い角度で振れていないこと。

たとえばバックループがとても高く、ホワードのループも高くしようとすれば、ラインの飛んでいく方向とロッドがキャストした方向に違いが出て

オープンなV字形状のようなライン軌跡が出来てしまいます。ラインは直線上に振られていなく凹状になってしまい、テーリングとなるのです。

その他、ロッドをフルスピードが遅くなる。アーク角が狭い。クリーピングなど、全ては、

ロッドティップが直線的に動いていないために起きてしまう現象です。

そして、

中にはこの理論を、解っていないのか?深く考えていないのか? ロッドをデザインしてしまったために、とんでもなくトラブルが起こりやすいロッドも多くあります。

その方々がデザインしたロッドですから・・・・・

この理論を解っていないエキスパートの方々があまりにも多いので要注意ですね。

 

この現象は、ロッドを振る力加減のみならずホールを行う時の力加減でも同様の現象が起こるので、どちらにしても、一気に力を入れることは、ロッドティップを急激に曲げてしまう結果となるので気を付けましょう。

もし、自分のループがこのような形状のループを出していたならば、加速時にループ形状と同様なロッドティップの動きをしてしまった事ですので、直線的に動くことを目指し、力の配分やロッドの動きをコントロールし、微調整を行ってください。

いろいろな動きをしてループを観察してみると、どこかで直線になったループが出来るはずです。それがティップが直線に動いた証拠なのです。それさえ解れば、それを崩さずキャストして体で覚えることが必要です。

キャスティングを行うときは、常に自分のループを見て、ロッドがどのように動いているかを確認しながらキャストを行うことが必要なのです。

“ループの上側の形状はロッドがラインを追い越す前(加速時)に作られた形状である”

このことを忘れずにティップの動きを把握してください。

ティップが直線的に動いていれば、ループも必ず直線になるはずです。

実際にキャストした動画を見てみましょう。

 

 

次に、これは微妙ですが、ほんの少しのミスの写真です。

写真001

写真002

 

写真001を見てください。上の矢印(落下しないライン軌道)の矢印部分が、微妙にふくらんでいることが解ります。

その直後、この微妙だったふくらみは少しづつ大きくなり、直線ではなくなってしまうのです。

ほんの微妙なことです。

これは一瞬の出来事で、実際に見ているとラインスピードが速くわかりにくい事ですが、この後の展開で乱れが出てくるのです。

これだけ微妙なことでも乱れが出てしまうということは、大きくティップが上下してしまったときは、さらに増幅されてきますので、ラインにフライが絡んでしまったり、リーダーやティペットにキンク(縛り目)が出来てしまうのです。

完璧に直線に描かれたときは、かならず直線なループが出来るのです。

よって自分のラインの動きを必ず目で追い、へこんでいるならば、ふくらませるなどして、ロッドティップの動きを調整し、直線になるようにしすれば良いのです。

 

このときに、大きく関わってくるのがロッドの性能で、考えられていないロッドは、微妙な力でもティップが曲がってしまい不安定な動きをしてしまうのです。それを瞬時の間に上手く操ることは、エキスパートでなければ無理なこと。
初心者用のロッドといって、よく曲がる物、曲がればよいと思うだけで柔らかいロッドを勧める、何も知らない自称エキスパートさんがいますが、それは大間違いです。
他に、理論も何も解っていないロッドの設計者も多く、「柔らかいロッドは飛ぶ!」そんな大ボケな事を言う先生もいますので要注意ですね。
初心者の方、中級者の方が起こしてしまいやすいミスとして、力を一点に入れてしまう傾向があるのです。そのことを考え設計されたロッドは、誰がキャストしてもミスが起こりにくい筈です。
曲がりやすいが必要以上に曲がらないロッドがベストです。

 

話はずれましたが、

くどいようですが、

“ループの上側の形状はロッドがラインを追い越す前(加速時)に作られた形状である”

このことを忘れずにティップの動きを把握してください。

 

 

上記の図は、私がイラストレーターを使って素人なりに書いた物ですので
少々解りづらいかもしれませんが、ご了承ください。 杉坂研治




基本レッスン 2-2
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ラインベリーの形状

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ループの上側の形状は、加速時に出来ることを伝えましたが、では、ループの下側(ラインベリー)の形状はどこで作られているかの説明をしますと、ベリー形状は、ラインがロッドを追い越した時点からの、ティップの動きを表しているのです。

図1

図1

図1を見てください。

加速してロッドが停止してから、ロッドティップがぶれなく、制止していたときは、図1’ように直線的なループが生まれるのです。

 

次の図2は良くない例です。

図2

 

図2’

図2のロッドで振りが8の位置までロッドが制止していないと、さらに逆への字型が大きくなり、とんでもなく落下するループが生まれてしまうのです。

この船底型ループはフライが落下してしまう最悪のループです!(上記で説明しました)

図3

 その原理がこの図です。(上記で説明しましたが再度説明させて頂きます)

上から1つ目の矢印でラインがターンし、

2つ目の矢印までフライが展開したときは、バックキャストを行いますので、この方向に強く引かれるのです。

当然その方法にフライは勢いよく走ります。

そして慣性はこの方向に強く出ていながら、最終はロッドティップ方向に引かれるのです。

よって、矢印3のような動きをしてくるのです。

矢印2で、強く引けば引くほど落下しやすくなるのです。

フライが落下し自分に当たりそうになると恐がり、落下してこないようにと思いっきり力を入れロッドを引くと、さらにフライは落下して、釣り人に直撃! です。

 

習い始めの頃、落下しないようにと強くロッドを引いてるのに、なぜかフライは落下してくる!?


どうして?

こんな経験はありませんか?

さらに思いっきり強く投げたら「ブサッ!」

背中にフライが刺さってしまったことありませんか?

 

私は、19歳の時、豊田市の野池へブラックバスを釣りに行き、思いっきり刺さって痛い思いをしました。

こんな原理 誰も教えてくれませんでしたし、本にもありませんでした。悪あがきだったのです。

 

この理論が解っていれば思いっきり引くことはありません。

ロッドティップを直線に動かし、振りきりのロッドを制止したときに起こる反動をおさえれば、スムーズにロッドは停止し

ラインベリーは直線になるのです。

 

ラインベリーはロッドティップの動いた形なのです。

 

ここで、図2の説明をしましょう。

図2

この図は、ベリーの出来方を表したものです。

ロッドはNo1から振られて、7もしくは8まで動き、6で制止したものです。

意識的には、6でロッドを制止しているのですが、ロッドの惰性が働き、ロッドティップは意図した時点で制止できずに7もしくは8まで動いてしまうのです。

実線で描かれたループは、7までロッドティップが動いてしまった状態のときに出来てしまう形状

点線01は 8までロッドティップが動いてしまった状態のときに出来てしまう形状です。

点線02は、8まで動き7へ行きまた8近くまでの往復運動を2回繰り返したものです。

力で強引にロッドを制止させようと変に力んでティプに力を入れたときや、粗悪なロッドを使用した時などは、このようにロッドティップがバウンドしてしまうことがあります。

 

そのバウンド(反動)を押さえるために技として伝えられた事が、“ドリフト” なのです。

 

これって本当ですか?!

私は、昔ですが先輩に、「ドリフト!」「ドリフトだよ!」「しっかりとドリフトしてロッドを止めるんだよ!」って

よく言われていたものです。

 

今思うと、これって、とんでもないことだったんですね!

???・・・・・・・・・・・・・

 

 

では、次のループではどうロッドティップは動いたのでしょうか?

考えてみましょう。

図4 

  このループは良くないループです。ベリーがたれています。図3のループと同じ展開をしてきます。

 

 

図5 

図5のようにロッドティップが制止していれば、ベリーは直線になります。

しかし、図4のように曲線を描いてしまう訳は、

 

図6

図6のように、ロッドを前方に動かしてしまったからなのです。

 

ここが注意点です!

 

以前、いやここ最近のキャスティング記事にもありましたが、“ドリフト”という技? を使用するとロッドが制止しやすいという理論を持った方がいます。

その方のループを見てください。間違いなく図4に近い形状のループを出しています。

図7

ドリフトという良くない理論の結果起こるループ形状です。

 

その動きを説明しましょう!

1から6までのロッドの動きをしていれば、

図5

このようなループが作られ、そして、

図1

完璧なループが作り出せたのです。

しかしです。

「ドリフトをしてロッドを前に動かしましょう?」などという事を教えれられ、ロッドを前方へ動かしたらどうなるのか?

図7

  図7の 7そして8がその状況です。

せっかく綺麗なループが出来ていたのに、7で前方へ動かされたロッドティップにより、ラインは支えられるものをなくし、引力に引かれ落下していくのです。

さらに8までロッドティップを動かすと、さらに落下してしまうのです。

ベリーが落下すれば、推進力でループは出来ているのでベリーの重さが必要以上に加わり、先端の形状は崩れ、尖ってしまうのです。

わかりやすく説明しますと、

まず、近くにある ひもでもラインでもかまいません、左右の手で両角を持ち引っ張ってください!

力を加えるとラインは一直線になりますよね。当たり前のことです。

そこで、左手を動かさなく制止し、右手を左手方向へ近づけてください。

ラインはたるみ、引力に引かれ落下します。

これ当然のことです。

ループは展開し飛んでいくのでそれ以下のスピードで送れば問題はない!そういう方もいますが、#2や3ラインならともかく、ロングキャストをしようと思っている#6や#8ラインでは重量があり、飛んでいくスピードよりいくら遅くとも、ラインはティップの支えを失ってしまったら、引力で落下してしまうのです。

一度落下してしまったラインは二度と上がってきません!

よって、ドリフトという技?! は 、大きな間違いなのです。

 

しかし、ロッドを急に制止してしまうと、

この図の7&8の現象が起こってしまうのです。

そこでです。

思いっきり振っても、ロッドが静止してしまう技があるのです。

6の位置でロッドティップを 瞬時に静かに 止めるのです。

 

ループはティップの動きを正確に表す! です。

 

その証拠に、ラインベリーは一直線なのです。

よって、ロッドは反動を押さえ速いスピードで振っていても、ロッドは静かに急停止しているのです。

この技が使用できると、全く力がいりません。勝手にラインが飛んでいきます。

そして、25mからフルラインまで、恐ろしく長いフォルスキャストが出来るようになるのです。

(ただし、ここで重要なことは、ロッドの性能です。このことを考えて作られていないロッドは、フルラインでのフォルスキャストは難しくなります。)

この技を会得すれば、バンブーロッドでも同様のループが作り出すことができて、シュートすればフルラインは簡単に飛んでいきます。

もちろんフライは落下させずにです。

 

余談ですが、今までの「ループはどうして作られるか!」がお解りになると、考えが変わってくる方が多くなると思います。

このロッドの動きを、自分が持っている「柔らかい、キャストしやすい?ロッド」を思い、動きを想定してください。

ロッドは、簡単に曲がってしまうので、少しの力でふらふらと動いてしまい、ロッドティップを直線に動かすことが難しくなるのではないでしょうか?

よって、初心者用に開発された柔らかいロッド?は初心者ならずエキスパートでも難しいロッドになっていることが多いのです。

シュートなんかしてしまうと、バットから曲がり込み、大きくバウンド(反動)し、ラインは大きく落下しますよね。

ロッドティップが肉厚で重く鈍いロッド、この原理を考えていないティップアクションのロッドも同様です。バットが堅くてもティップが柔らかいとティップばかり曲がってしまいテーリングが簡単に起こってしまいます。

柔らかいロッドが悪いのではありません。難しいだけなのです。その難しいロッドを綺麗に振るのは面白いことです。

しかし、釣りでは使用したくないですね。

釣りの中では、キャスティングは一つのプロセスです。それ以外にやらなければならないことは多く、いちいちキャスティングに気を遣ってなんか釣りをしたくないのです。

簡単に思った所へいち早くトラブル無くフライを飛ばす事が出来るロッド!それが一番大切なこと。よって、初心者もエキスパートも目指すものは同じなのです。

 

理論的に解ってきたら

実際にロッドを持ってキャスティング練習してみましょう!

まずは、綺麗なキャスティングできるロッドが必要です

一生懸命振っていても、ロッドが直線的にティップを動かしてくれなければ、ラインは直線的になりません!

正しく振れるロッドを使用してください

次に、ホールは不要です。

リーダーを含め 12mのラインを出してください。

リールから12mです。

こんな短いラインなら誰でもキャストできると思えますが、

まずは、キャストしやすいラインの長さで、正しく腕が動き、正しく力が加えられ、ロッドティップが正しく動いているか?

それを調べる練習です。

 

使用ロッド 

K・Bullet PERFECTION #6  9ft 

使用ライン

パーフェクションフライライン WF#6

 

PERFECTION#6ロッドには、KenCubeのPERFECTION#6ラインがベストです。

このラインは、通常の#6ラインよりベリーが長く、ロングキャストやロールキャストなどが行いやすいラインになっております。

他社のラインを使用した時に、ベリーが短い場合が多いので、ロッドが固く感じてしまうこともあります。

プロショップなどで、他のラインを勧められた場合は、要注意です!Shopの方(K・Bullet取引店以外)はK・Bulletのアクションを全く知りません。注意してください。

その他、このロッドはシューティングヘッドのシンキングラインにも相性が良く、気持ちよくロングキャストができます。

 


基本レッスン 3

 

ロッドティップを止めるその技!

 

ドリフトなんて不要な物なのです。

ロッドティップを止める技