スルーウイングのイマージャーフライ制作


スルーウイング・イマージャー

デルタウイング・イマージャーというパターンをご存じでしょうか?十数年前に私が考案したオリジナルパターンなのですが、一見カディスフライのようにも見えますが、イマージャーとしての機能を持ったフライなのです。

 

    デルタウイングイマージャー
デルタウイングイマージャー

 

このスルーウイング・イマージャーは、そのデルタウイングと同様の機能を生かし、さらにスルーウイングが持つ 透過性、通気性による非回転、リアルライトパターン、リアル形状、高浮力、即復活性を持ち合わせた、この時代の最新イマージャーフライなんです。

人の目から見るとこのフライはカディスのアダルトに見えます。しかし、私たちが必要とするのは、鱒から見たフライの形状なのです。鱒の目にどう映っているかということです。

そこで、まずはこのフライを水面に浮かべて見ましょう。

冒頭にあったこの写真がそうです。

カディス・アダルトのような山折りをしたウイングの両サイドが水面を支え、そしてボディーが吸水し水中に没して鏡面化した水面に映って見えています。

さらにわかりやすく写真を加工してみました。

鏡面化した水面に映っていたボディの部分をPhotoshopで消してみたのですが、かなりわかりやすくなったでしょう。

水面近くに定位した鱒は、水面と鱒の目までの距離が近ければ近いほどトラウトウインドウは小さくなりそれ以外の水面は全て鏡面化してしまうのです。

目の中心部分から円錐状に48.5度が境になっており、それ以内の水面は透けて空が見え、それ以外は鏡面化してしまう。

簡単に覚える目安として、私が釣り場で目測するのに使用しているのは、まず48.5度という数字は2等辺直角三角形の45度に近いということで、微妙に違ってはきますがあくまでも目安として、水深30cmに定位している鱒は頭上約30cm以内がトラウトウインドウでそれ以外は鏡面化していると考えているのです。鱒の水深=トラウトウインドウのサイズと考えれば覚えやすいですよね。だいたい鱒の水深ですら目測ですからね。

そこで、トラウトウインドウ外(鏡面化した部分)で鱒はフライを発見し、捕食体制にはいるのですが、そのときのフライの見せ方がまずは第1の重要なポイントなのです。

 

この写真は、トラウトウインドウ内の見え方です。

ここで必要なのがウイングの透過性とカラーそして形状なのです。

カディスウイングと明らかに違っているのは横から見た形状ではなく上下から見たときの形状。ウイングの切れ込みが大きいのが解るでしょうか。

そして、この写真ですが、トラウトウインドウ外で半沈みになってウイングがべったりと水面に干渉したときのウイングの状態です。

スルーウイングの干渉度合いはかなりリアルなウイングを作り出します。

流れがある川では鱒はリア側からフライを見ますので、こんな感じで見えているはずです。

 

そして次の写真は、前側から。

僕の考えでは、湖においては川よりもスキがないフライを使用しなければならないと思っているのです。それは、川の場合は必ず鱒は上流を向きそこへフライを流し込むのだから、後方からの見え方をメインに考えればよいのですが、湖では(流れのない場合)どの方向から見てくるか解らず、360度スキのないフライを制作しなければならない。そんなふうに思っています。

これはトラウトウインドウ内での見え方ですが、思ったよりインジケーターはよく見えるのです。

だから、僕はピンクという自然界で流下してくる餌生物にはあり得ないピンクというカラーは使用しないんです。聞くところによるとピンクというカラーは、紫外線を強く反射するらしく、だから色盲である鰹はこのカラーを認識し他のものより目立つから好んでアタックしてくるということらしいですよ!(単なる噂かも)なにはともあれ良くないことはしない方がよいので、違和感を与えやすいピンクは使用しません。

ここで使用しているインジケーターは、オレンジ。しかも自然界に一番多いグリーンで挟み、中心部分のみオレンジを使用しているのです。

写真右のフライは正面からフライを見た場合ですが、この特殊なインジケーターの形状ならばオレンジは全くといって良いほど見えないのです。

川において鱒は真後ろから見ますからこれと同様で、鱒に見えるのはグリーンのみ、しかし釣り人はサイドから見ますからオレンジカラーがハッキリと見えるんです。

晴天の日は、オレンジのカラーは不要で、グリーンがとっても見やすいのですが、雨天または曇天そして雪になるとグリーンは見えにくくなり、オレンジがよく見えるようになりますから、グリーンとオレンジのコンビネーションが全天候型です。

インジケーターは、全天候型のみならず、必ずグリーンまたはイエローなどの自然界にあるカラーのみのものを用意してください。基本的には違和感を与えない自然界にあるカラーを使用することをお勧めします。

 

スルーウイングイマージャーの製作

・スルーウイングイマージャーのバーナー制作方法

 

・スルーウイング・イマージャーのタイイング

 

 

 

余談ですが、

この羽ですが、コカゲロウのボディを巻くのに最高のカラーを出すウイングです。

これはピーコックのウイングですが、ショップでは販売していないのです。クジャクを飼育している動物園で拾ってきました。

子供と一緒に遊びに行く家族サービスは必ず動物園!北風が吹く冬は動物の南側の林に羽は飛ばされ、ピーコックのブルーネックはたくさんありますし、小屋の裏にあるゴミ箱には羽がたくさんあります。