Tying

Fly Patterns

Kenji Sugisaka  original Fly's


究極のフライ、スパークリング・ピューパ


スパークリング・ピューパ・スペシャル の理論


これは知っていきたい! ユスリカ・ピューパのトリガー

 


 オリジナルフライ  SP(スパークリング・ピューパ)
           SPS(スパークリング・ピューパ・スペシャル)に求めたもの。

 


・輝くボディ
ユスリカが終令期を向かえると、シャック(殻)の中には変態した成虫が入っており、その成虫とシャックとの隙間には空気のようなイマージング・ガスが発生していることはご存じでしょうか?

羽化をするためにピューパは水面へ浮上するのですが、その場合、自力で泳いで浮上するのではなく、そのガスの浮力を利用し浮上していくのです。

ボディを包んでいるシャックは非常に薄く、光りを透過しやすいため、そのガスが水との屈折率の違いにより、ボディーが鏡面化される角度が出来てくるのです。

たとえば、ビニール袋にほんの少しだけ空気を入れて、水中へ入れたとき、鏡のように見える部分ができるのと同じ原理です。水槽やお風呂などで、一度実験してみると面白いですよ。

そこで、鱒と同様に水中から水面を見る方向で、ユスリカはどのように見えているかを考えてみると、その背景により見え方が大きく変わってしまうのです!

トラウトウインドウ内ではバックに見える水面が空を映し出し、明るく見え、ピューパは逆光の状態で見ることとなりますし、

それ以外の水面のトラウトウインドウ外では、 (鱒の目の真上を中心に48.6度から先においては、)水面が鏡面化し水中の像を映しだすので、川底の景色や、水の色の薄暗い状態を背景にピューパを見るようになってきます。

すなわち、トラウトウインドウの内と外では、ピューパの背景が、明そして暗と大きく別れ、見え方が大きく違ってくるのです。

背景が明るいトラウトウインドウ内での見え方は、シルエットとブラックカラーが重要となるが(TP77の秘密で説明

薄暗い背景のトラウトウインドウ外においては、それとは全く違う見え方をしているのです。

ここで重要なのが、先ほど説明した終令期のピューパの状態。

イマージングガスを抱き鏡面化したピューパだが、その状態でクネクネと動き水面を破ろうとしている行動は、真上から入ってくる光りを各方向に反射します。よって、背景が薄暗い中では、ディスコのミラーボールのように「キラリ」と光って見え、強いインパクトを与え、それが捕食のトリガーとなる場合が多いのです。

それがこの写真です!

ピューパは生きており、これから羽化を始める直前の状態です!

この写真のユスリカピューパは、どちらも同じ個体なのです。しかし見る角度によってはこんなに光り輝いて見えるのです。

水中に入って入る物と、空気中に出したものでは全く違いますね!

これが落とし穴なのです!

 

 

この自然が作り出す不思議を知り、鱒が見ている視線での考え方を知った方のみが作り出していける究極のフライ!

・フライに要求されるもの

ピューパのフライを制作するにあたり、ボディを鏡面化させることが一つのカギになってくるのですが、鏡面化といっても、フラットティンセルを巻いただけのような常時に鏡面化してしまっている安易なものではなく、ある角度では鏡面化し、またある角度ではボディーカラーが見えることが必要なのです。

そこで、どうしたら本物のピューパが作り出す煌めき、そしてシルエットを作り出せるだろうか?

いろいろと悩みました。

注射器に空気を入れ、それを中空のラーバレースへ押し込み、それをボディへ巻くことにより空気の螺旋を作り煌めかすとか?・・・・・・・・これは、巻くときに空気が抜けてしまい失敗。

人工血管、点滴を行うときに針を止める薄い透明なシールなどを使用しいろいろ試してきましたが、制作するサイズがあまりにも小さいために難しく、しかも水漏れしたりしてほとんどダメでした。

「これは不可能なこと」とあきらめて数ヶ月が経ったとき、ひらめいたのです。

“見る角度によっては光を反射する”状態

それは、水と空気の屈折率の違いが起こす現象なので、水と空気ではなく、水と屈折率の違うポリエステルをボディに巻き付けることにより同じような効果を出そうと考えたのです。

結果、主となるボディのカラーがメインに見えていて、ある角度になると太陽の光を反射する
キラリと煌めくボディが完成しました。

それが、“スパークリング・ピューパ”なのです。 
(ゲーリーラフォンテーン氏のスーパークル・ピューパとは形も名前も違います)

以前、雑誌等で初代のスパークリング・ピューパを紹介しましたが、その時はモノフィラメント(ナイロン)使用していましたが、今では、らさらにこのフライは進化し、ナイロンよりさらに屈折率の違うポリエステルを使用する事になりました。よりその効果を高めた進化型なのです。

 

ここまで徹底的に研究し追求されたフライは過去にない!このフライは究極のフライです!


S・P・S(スパークリング・ピューパ・スペシャル)の発見!

S・P・Sとは、S・Pがさらに進化したスペシャルボディです。

それは、長さ3mm太さ0,9mmの極小ボディの中に、本物のピューパと同様に、ミクロの厚みで空気の膜を螺旋状に入れ込んだものなのです。

いろいろと苦労しましたが、ミクロの空気膜がボディに入れることが出来たのです。それも簡単にです!

それは、巻き付けるポリエステルをフラットに変形させ、その下地のスレッドを螺旋状に間隔をあけて巻くのです。その上からフラットなポリエステルを被せるとスレッドの厚み分の隙間ができるのです。そして、ボディ全体を瞬間ヘッドセメントで被ってしまえば、その隙間に空気が閉じこめられるのです。

SPと制作方法はほとんど変わらずに、制作できます。


この写真は、SPSが水面に張り付いている状態です。

バックは、薄暗い川底のイメージで暗くなっていますが、ライトの光りでもこんなに反射します。
太陽光はさらに強いので、これよりもよく目立つことが予想できますよね。  


 S・P・S
ナチュラルブラックCDC


 

S・P・S
ナチュラル タンCDC

 

この究極ともいえる、Specialフライのタイイングを皆様にお伝えしましょう!

 

イイング・ポイント

S・P・S  マテリアル

 フック・・・・・・・・・・・・・TP77 #32〜14
 ボディ・スレッド・・・・・・・・ベネッキ・ウルトラファイン・スレッド・ ダークブラウン
 ボディ・・・・・・・・・・・・・クリアー・ポリエステル (ゴーセン アクアキング)
 ボディ・コーティング・・・・・・瞬間ヘッドセメント   
 ウイングケース・スレッド・・・・ベネッキ・ウルトラファイン・スレッド・ ブラック
 ポスト・・・・・・・・・・・・・CDC

まず、ラウンド形状のアクアキングをフラットに変形させます。

アクアキングは、#32〜26は、0.8号。#22〜18までは1号を使用。

ヒッチャーなど金属の滑りがよい平らなものでラインを挟み、プレスしながら引き抜き、強制的に平らにしていく。

この時、シリコンなどの潤滑剤を塗り、2〜3回引き抜き徐々に扁平させていく。

 

ダークブラウンのスレッドを密に巻きながら扁平ラインを止める。

そして、ここからは、アイ側へスレッドを巻き戻すのだが、間隔をあけ、螺旋状に巻き、スレッドをアイの隣へ。

そこで、ドライシェイクを少量、ボディに塗っておく。


フラットラインを密に巻く。
隙間の無いように気を配ること。ここが大切です。

そして、瞬間ヘッドセメントをピンの先に少量取り、
ボディへ薄く塗る。

それが乾いたら、
たっぷりと一気にヘッドセメントを塗る。

じわじわと塗っていると、ラインとボディの隙間に入り込み空気が抜けてしまうので、一気にたっぷりと塗り被すことがコツです。

 

 

 

ブラウンのスレッドの上からブラックのスレッドを被せ、スレッドを交換する。

 

 

 

スレッドでブラックのヘッドを作ったらその上にCDCのファイバーを乗せる。

止めるのは1回転のみ。

 

 

 

止めた所の前後をスレッドで巻きゆるまないようにしてから、2つ折りにして束ねる。

 

 

ポストの根巻きを行い、角度を付け、
瞬間ヘッドセメントでコーティングして終了。

 

ポストの角度・根巻きには注意!下記参照

ティッペトの重量・沈下角度を計算に入れると、ピューパのぶら下がり状態を作り出すには、ポストの角度は前方45度がベストとなる。そして、さらに根巻きを1mm巻くことにより、水面の位置がポスト側へ1mm離れ、ティペットが沈下して前のめりになっていっても、フックベントは水面に干渉しにくくなり、ライトパターンを小さくまとめ、なお、完璧な姿勢を保つようになるのです。

水槽実験での姿勢を考えられている方とは、ポストの角度が違いますが、実際のフィールドではフライのみならずそれ以外のことを考慮しないと、正しい姿勢は保てないようです。

 

ここまでこだわる理由は、ミッジは小さいが故に誤魔化しが効かなくなり、鱒が超スレ状態になった時、釣果に明らかな差が出てくるからです。

釣れる時はどんなフライでも釣れるんですが、釣れない時や難しい時に、その差は大きく現れるものです。