TP77 / TP88


TP77・TP88は、
一般的なフライフックとは違います!

必要とされる方のみにその効果は発揮される特殊なフックです。

世界中の鱒に対応したフックではなく、我が国内の鱒類にターゲットを絞り、極論を具現化した究極のフックなのです。


この特殊なフライフックを完璧にまで使いこなすために
隠されてきた秘密をここに明かしましょう。

 

1.フライの浮力を向上させる形状

ミッジのドライフライの釣りで良く思うことなのだが、フライが小さくなればなるほど視認性は悪くなり、また浮力も弱くなってくる。そこで確実に浮いているという自信が持てないフライを使用していた場合、キャストしたフライが着水直後に確認できれば問題ないが、確認できないと浮いているのか?沈んでしまったのか?不安になる。
もしかして? 水面直下に沈んでしまったとすると、フライを水中で鱒に咥えられても、フッキングのタイミングが解らず、釣ることは難しくなる。ましてや、そこで鱒が違和感を感じてしまい、警戒してライズをしなくなってしまうことも珍しくはない。そうなってしまうと、フライが沈んだためにせっかく見つけたライズがだいなしになってしまう恐れが出てくるために、フライは確実に浮く(沈みにくい)という自信を持ったフライを使用したいものです。

そういえば、いままでに釣りをしていてこんな経験はありませんか?

ミッジをロングキャストし、その方向の水面を必死になって目で追い、フライを探す。そこでフライか?それともゴミか?などと見分けられない場合は、ラインを引くことによりフライにドラッグを掛け、動かすことによりどこにフライがあるか確認しようとすることを良く行います。しかし、そこで使用したフライが、浮力が弱く沈みやすいフライだと、確認できた直後、動かしたことによりフライは水中へ消えていってしまい再度投げ直しになってしまったこと。

または、フラットな水面で、ティッペットの存在を解りにくくするために、ティペットを引き、水面の表面張力を破ることにより、水面下に入れて水面に干渉させないようにさせますが、そこでフライの浮力が弱いと、ティペット部分が沈むのと同時にフライまで沈んでしまったこと。

また、一匹釣れた所で、まだいくつものライズがありその一時のチャンスを逃さないようにと急いでキャストはしたものの、乾かしたはずのフライがすぐに沈んでしまう状態。フロータントも効き目はなく、絶好のチャンスなのにフライ交換をしなくてはならなかったこと。

さらに、フラットな水面において、マテリアルがたくさんついているフライは、魚に見切られることが多い!と感じたことはありませんか?
たとえそのように感じたとしても、ある程度の量のマテリアルを使用しないとフライはすぐに沈んでしまうので、浮力を重視するために、浮かすためのマテリアルが多くなってしまったこと。

これは全てフライの浮力の問題です。
もっと沈みにくいフライができたらば、簡単にこの様な問題は解決できるのです。

そこで、どうすれば沈みにくいフライになるか?また、少ないマテリアルでいかに浮力を持続させるか?などと、今まで求めてきたものは、少しでも良く浮くフロータントだったのです。
最近はフロータントの性能も良くなり、以前より少ないマテリアルでも浮くようになってきました。
特に、ドライシェイクの出現でマッチング・ザ・ハッチのフライは大きく変わったと思います。
しかし、マテリアルの芯まで水が染み込んでしまうと、フロータントの効果は半減、やはり沈みやすいフライにもどってしまうのです。

そこで初心に返り考えました。
フライは沈みやすいものなのか?その原因は何か?

いろいろ考えていくと、答えは簡単ですね。そう、フライフックです。
フライフックに使用されている金属、その重さがフライを沈めてしまうのです。
それならば、強化プラスティックで製作すれば?グラス繊維などの軽いもので作れば?なんてことも考えましたが、技術的にいくら科学が進んできた現在でも製造は難しいようです。
改良できるのは今使用されている金属の部分しかないのです。

“細くて強度があり軽い金属”それが見つかれば、さらにフライフックは軽くなる!

それを求め試行錯誤を繰り返しました。

そして、ようやく見つかったのです! 細くても折れない強度の鋼材。

さらに軽量化するため、金属の使用量を考えにいれ、極力短い金属でフックを形作るための“形状”そしてフックアイの内径までも、極力小さくして軽量化しました。

“軽いフック”それが沈みにくいフライを作っていく大きなガキになるのです。

 

左は市販されているフックの#20、鋼材の太さは0.365mm
右はTP77の#20、鋼材の太さは0.25mm
単純に計算して同じ長さの鋼材を使用していたならば約35%軽量化したことになります。
ちなみに0.365mmの太さは、かなり太いもの。TP77のシリーズでは、#14でも0.325mmを使用しています。
実際の重さは、左のフック#20が9 mg
TP77#20が 何と! 4.4mg で、
重さは半分以下に軽量化できたのです。

 

これ大きさはかなり違いますけどどちらが軽いと思いますか?

左のフック#20が0.9 mg
右がTP77の#16、重さは何と! 0.74mg なのです。
明らかに大きさは違いますが、左のフック(#20)より#16サイズでありながらもTP77は軽いのです。
すなわち、#20に使用したマテリアルを同じように使用しても、#16の方が沈みにくいのです!

鋼材の重さは、フックにはかなり需要なんですよ!


次に、フライフックに要求されるもの

ここまでに1.浮力について考えてきましたが、それ以外にも求められる重要なことがあります。

いくら軽いフックであっても、フッキングしにくいフックならばそれは論外です。
そこで、2.高フッキング率をキープする形状が必要なのです。

次に、フッキングできても、バレてしまったら元も子もなくなるわけで、他の魚にも警戒させてしまう恐れがあるので、3.バレにくいフック形状も必要です。

次に、欲を言うならば、鱒にフライフックの存在を感じさせにくいフック。
すなわち4.鱒に見えにくいフックならば警戒心は薄くなり数多くヒットできるかも?

そして、最後にヒットした5.鱒にやさしいフックであるなら速やかにリリースできるのです。



 

2.高フッキング率をキープする形状 と 3.バレにくいフック形状
これは実際に釣りへ行き、鱒に聞いてみるしかありません。
そこで、このことを突き詰めるために3年の間、市販されているフックを改造し、どの形状が一番フッキングしやすいか調べてみました。

フッキングの効率を調べるためには、フッキングしにくいと言われているサイズから始めることがベスト。
そこで、#30サイズから順番に調べてみました。

“今までの形状”でこのサイズともなると、フライに10回アタックしてきたとして、フッキングできバラしてしまうことなく鱒がネットに治まる匹数は、3〜4匹前後。下手をすると1〜2匹しかキャッチできないこともありました。また逆に悪い形状ともなると、ほとんどフッキングしないこともあります。

フッキング率を高くする形状

写真1、このフライフックは、大きいサイズのものを変形させ、シャンクの途中でカットしそこへモノフィラメントにて、垂直のアイを作ったものです。
この形状が一番フッキング率が高く、バレにくい。

写真2、市販されているフックを無理矢理変形させ、ワイドゲープにしたもの。
市販品よりフッキング率が高くなりました。

写真3、2と同様に市販されているフックを無理矢理変形させ、ワイドゲープにしたものですが、シャンクをカーブさせさらにゲープ幅を持たせたものです。
結果2よりフッキング率は高くなりました。

次にテストしたのは、スピアーといわれる部分の長さです。
スピアーとは、フックベントから針先までの部分を指します。

この部分が長いフックとして代表されるのがTMC531などがあります。

この部分は、長い方が良いのか? 短い方がよいのか?

これも実践でテストしました。

使用したままの状態で、アイにティペットがついていました。
このフックのスピアーの長さは何と! 1.2mm しかありません。
#32より小さなフックですが、シラメをメチャクチャに良く釣ったフックです。

この様なフックを何パターンも制作し、 
トラウトポンドはもちろん、長良川、寒狭川、宇蓮川、飛騨川、蒲田川などで約3年間テストを繰り返してきました。

実験の結果
スピアーが長ければ長いほどフッキング率は低下します。しかし、一度フッキングしてしまうとなかなかバレなくなるようです。

逆にスピアーが短いとフッキング率は高くなりますが、シラメ(アマゴ)やヤマメなどはローリング・ファイトをするために、バレやすくなってしまうのです。

太めのティペットを使用し、大きなアワセで釣りを行う場合(夏の渓流など)は、スピアーが長くても不都合はないようです。

しかし、マッチング・ザ・ハッチとなると、ティペットは当然それなりに細くなってきますから、小さく静かなアワセでもフッキングが高確率おこなえることを考えると、短いスピアーが必要になります。

そこでバーブレスにするとスピアーはある程度の長さが必要になりますが、バーブを付けることにより短いスピアーでもバレにくくなるのです。

基本的に少量の金属を使用し軽量化させることを目的としていますし、フッキング率を高めるためにも、鱒にやさしい必要最小限のマイクロバーブを採用し、最短のスピアーにする事がベストだと結論付けたのです。

フッキングしても伸びにくいフック形状

上記の図は、フックに掛かる力を表したものです。

まず左のフック、円の部分に力が掛かって来るのですが、黒色の円と赤色の円の距離は長く、その距離が長ければ長いほど赤色の円に掛かってくる力は大きいものです。この形状だと使用する鋼材にそれなりの強さが求められてしまい、結果、細いものが使用できなくなってしまうのです。そしてキープできるゲープ幅は小さく、フック全体の大きさのわりにフッキングが悪くなってしまうのです。

それとは相反する右のフックですが、スピアーの先端で力を支えるのではなくフックベンドの部分で力を支えることにすれば、黒色の円と赤色の円の距離は縮まり、赤円に掛かってくる力はさほど強くなくなってきます。元々から緩いカーブしか描いていないため、変形しにくいのです。

よって右の形状ならば、1ランクも2ランクも細い鋼材が使用できるのです。

そこで、スピアー部分を全てフッキングさせてしまうために行ったことは、“極細の鋼材に化学研磨でテーパーを付け”しかも“抵抗の少ないマイクロバーブ”を付けた特殊なスピアーを特注したのです。さらに“滑りを良くするためのメッキ”までも施しました。

鱒がフライにライズしてきた瞬間、それを逃さない早く小さなフッキングでも、フックポイントさえ鱒の口に触れば、鱒の暴れる力だけでフックベンドまで刺さってしまうのです。

TP77のスピアー長

#32-1.8mm,  #28-2.0mm,  #26-2.5mm,  #22-2.4mm,
#20-2.7mm,  #18-2.9mm,  #16-3.0mm,  #14-3.3mm この様な長さで決定しました。

結果、この形状、マイクロバーブを採用することで、軽量の極細鋼材が使用でき、その上に鋼材の短化を計る事によりフックの超軽量が実現。そして、高いフッキング率をキープし、バレにくくもなり、鱒にやさしいフックとなったのです。

実践を重視した形状

当然のことながらフックの大きさが変われば、フッキング率、キャッチ率なども変わってくるのです。そこで、フックの形状をパターン化したコピーによる同一形状の縮尺は、釣り師として不満が残るために、このシリーズは、全て実践重視として、各サイズベストの形状求め、作り上げたために、各サイズの形状が微妙に違ってきております。

ネムリ形状

特にこだわったのが、#16、そして#14のスピアーです。

#16フック

極細のワイヤーにテーパーを付け、そしてマイクロバーブ、さらにはこの2サイズのみフックアイに向かってカーブを付けネムリを入れた特殊なスピアーを作りました。

 

鱒に見えにくいフック

そして最後に残ったのは、鱒に見えにくいフックなのです。

2月の夕方で風が止んだ時、プールの開きでは水面が鏡のようにフラットで辺りを映し出している中、小さなディンプルライズが、淡々と繰り返されていることがある。(寒狭川の最下流のプールや長良川の関観前など)
このライズを狙ってフライをキャストすると、それは日中のライズとは大きく違い、驚くほどシビアで簡単に釣れるものではないことが多いのです。(TP77#32を使用すると面白いように釣れます)
それはなぜなのか?・・・・・調べました。

メチャメチャに渋いとき、捕食されていた多くの水生昆虫は、#30以下の小さなユスリカが中心でした。私が思うには、ユスリカのサイズがあまりにも小さいために、フラットな水面の強い表面張力を破れなかったものが水面下に張り付きハッチできずに流下していたのです。

そのユスリカの色は、ブラウンでありながらほぼブラックといっていいほど黒く見えるのです。そして、そのボディーは細い。
それ以外にもブユなども混じることがありましたが、捕食されている水生昆虫のカラーはほとんどがブラック、ブラックをメインに捕食されていたのです。

そういえば、ブラックで思い出すことがありました。

これを読んでくださっている皆様へ
パソコンの前でけっこうですから、今から、「人差し指を目線の高さで、目より40cm位離して見てください!」(裏でも表でもどちらでもけっこうです)

その指は、 何色に見えます?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・肌色ですね。

次にその指を蛍光灯などの明かりにかざしてください。
目と蛍光灯の間に指がくるようにしてください。

その指は、 何色に見えます?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・黒く見えるでしょ!

鱒の目は、カメラでいう絞りと同様の調整はでき無い構造らしいのです。

トラポンで幾度もなく実験をしたのですが、ペレットの色はベージュです。毎日そのベージュのペレットを与え、慣らし、撒いたら直ぐさま捕食し出す状態にしておきました。

しかも、ペレットフライで何度も釣り上げ、フライにはスレスレの状態にしておいたのです。それはどんなもの(石など)でも食べられては、実験になりませんからね。

そこへ、同じペレットに、ラッカーで、黄色、赤色、緑色、青色、黒色、クリアーの6色を塗り、ティペットを縛り、マーカーを付けてどのカラーを食べるか?どう鱒の目には見えているのか?などのテストをしたのです。

ペレットと同時に、色を付けたペレットを入れると・・・・・・・・・・これと同じようなことを釣り人社のタイトループ[9号]に掲載しましたが、この時はたしか水深30cmの結果のことに触れていましたが、ここでは、水面下10cmについての答えです。

結果は、クリアーは躊躇しないで捕食してきますが、あとの色はそこまでの勢いはなく、ただし黒だけは別格に反応してくるのです。それ以外にもいろいろな実験をしてきました。

そこで私が出した結論は、先ほどの指の見え方と同様なのです。

鱒が順光でものを見た場合は、そのものの色が生きてくるが、逆光になった場合は、透過しないものは黒っぽく見えること。
水面は明るいために、蛍光灯に指をかざしたのと同じような状態が起こると考えたのです。
さらに、ここで黒を逆光に置くと、よりクッキリと目立つようになるのです。

話を元に戻して、夕方のフラットな水面では、太陽光線が水面に斜めに差し込み、その明かりは大半が水面に反射され薄暗い世界になっているのです。そこで、空を見上げるとその空は明るく見え、先ほどの実験と同じ状態になるのです。

よって、黒い小さなピューパでも鱒にはクッキリと見ていたのです。そこへ、フライフックのブラックのシャンクで巻いたフライをキャストすると、鱒にはどう見えたのでしょうか?鱒は黒い色に関心を持っている状態です。

U字またはCのような形状?すなわちフックのスピアーの先端までがクッキリと見え、一つの物体と見えたのではないでしょうか?

水生昆虫のサイズにフライのボディサイズをマッチングさせたつもりであっても、フックまで一緒に見られたらならば、それは大きな虫に見えてしまい、その時点でマッチング・ザ・ハッチは成立しなくなってしまうのです。

フックの色には、かなり神経を使いました。

結果、TP77は、この極細シャンクに、錆止めと滑りを良くするため、そしてトラウトウインドウ外と同様の水中の景色を反射させるために、シルバーのメッキを掛けることとしました。しかし、シルバーはあまりにも強く反射し、鱒が警戒しやすいので、その上からさらにブラウンのメッキを施したのです。

すなわち、このカラーを出すためにシルバーとブラウンの両方のメッキを施したのです。

結果、この細さとこのカラーで鱒には見えにくいフックとなる訳ですが、
さらに特別なタイイングにより、フックはスピアーしか見えなくなってしまうのです。

1.浮力

2.高フッキング率をキープ

3.バレにくいフック

4.鱒に見えにくいフック

5.鱒にやさしいフック

以上を考えに入れ、徹底して制作されたのがこのTP77シリーズなのです。

世界中の鱒に対応したフックではなく、我が国内の鱒類にターゲットを絞り、
極論を具現化した究極のフックです。

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